育成会のあゆみ

名古屋手をつなぐ育成会は、令和3年(2021年)、会創立68年を迎え、「地域での支援つき自立生活」と「権利擁護」確立に向って活動しています。歩みとして昭和29年(1954年)西区幅下小学校、菊井中学校に在籍していた保護者の「我が子が教育を受けられた喜びを全ての子にも」という願いのもとに創設され、昭和50年(1975年)には社会福祉法人の認可を受け、会活動と合わせて、自ら知的障害者の施設の設置運営をはじめました。
平成10年(1998年)から会名を名古屋手をつなぐ親の会から「名古屋手をつなぐ育成会」とし、本人・家族が学びあう組織としての役割も果たしつつ、新しい名のもとで知的障害者本人はじめ、より多くの人々と知的障害のある人たちがすべてのライフステージにわたって、地域で安全安心な普通の暮らしが送れるよう「支援つき自立生活支援」と「権利擁護」の確立を希って活動体・事業体としてその推進に取り組んでおります。
現在、名古屋市内に24支部、会員数 約1,000名と家族・本人、社会福祉事業 「法人本部事業」はじめ「支援部門」第一種社会福祉事業 障害者支援施設(施設入所支援・生活介護)、第二種社会福祉事業 生活介護、就労継続B型事業、ホームヘルプ派遣事業、ガイドヘルプ派遣事業、区障害者基幹相談支援センター事業、グループホーム事業、指定特定相談支援事業、指定一般相談支援事業、指定障害児相談支援事業、短期入所事業・日中一時受入事業、送迎サービス、支部連携指導事業、「公益事業」 いこいの家事業、社会啓発事業(愛のフェスティバル・心のとも運動)、知的障害のための調査研究事業、社会福祉の増進に資する人材育成・確保に関する事業、地域における社会貢献事業の実施、「自主事業」としても生活支援センターえんを運営しています。地域生活のサポートセンターとして地域生活支援を実施し社会貢献を目指しています。2本柱の「支援部門」「推進部門」が連携し地域での安心安全普通の暮らしと権利擁護の実現を目指し、社会福祉法人・民間運動団体として、更に社会貢献を果たす活動をしております。

育成会の運営

当法人は、社会福祉法関係法の下、定款に基づいて学識経験者、地域・福祉関係者等で構成する理事会(執行機関)、評議員会(議決機関)で図られた事業計画にもとづいて運営しています。社会福祉事業では障害のある人、知的な障害のある人が「地域での普通の暮らしを実現」できるよう「支援」することを目的として事業展開しています。
各行政機関、各種支援団体と連携するとともに全国手をつなぐ育成会連合会に参画し、その運動を推進しています。又、支部育成会とともに地域福祉推進、会員同士の学び合い研修・事業等を展開しています。

Ⅰ 基本方針

当法人は会創立68年、法人設立46年を迎えています。法人設立理念・目的のもと当法人定款に則り法人経営を法人事業体・活動体の有機的な連携のもと推進します。

1 社会福祉法人の基盤体制の整備強化と地域社会への貢献

法人経営基盤の強化推進としてガバナンス、透明性、財務規律の強化を図るとともに地域における公益的取り組みを実践し、法人としての責務に取り組みます。すべてのライフステージにおける時代に対応した福祉サービス、地域生活の多様なニーズに応える複合的な支援、又、高齢障害者支援に取り組みます。

2 差別のない社会づくり(共生社会)の実現に重点的に取り組みます

障害のある人を取り巻く環境を「医学モデル」から「社会モデル」へ、すべてのライフステージにおいて差別なく普通に暮らせる社会環境づくりに取り組んでいきます。特に知的な障害のある人への理解、合理的配慮、意思疎通・決定支援の推進に取り組みます。

3 すべてのライフステージにおいて、一人ひとりのニーズが大切にされる障害児者支援体制を整備推進します

「支援つき自立生活」の実現のため第4次名古屋市障害者基本計画及び第6期名古屋市障害福祉計画、第2期名古屋市障害児福祉計画の推進、高齢障害者施策・地域生活支援の充実を目指します。

4 ネットワークの推進、権利擁護・社会福祉基盤、地域・災害防災対策に対する地域力を高める活動を推進します

以上の方針に基づき、基本テーマと7本の柱実現のため、法人本部・8委員会・支援部門・推進部門・事業を推進してまいります。

【基本テーマ】

「一人ひとりかけがえのない人生を大切に、その人らしく生きていける社会の構築」すべてのライフステージにおいて、社会の構成員として地域での安心・安全のある普通の暮らし実現と権利擁護の推進および利用者尊重の障害福祉サービスの提供体制推進強化・地域における公益的取り組み

Ⅰ 障害児・障害者・知的障害者関係法制度の充実
Ⅱ 社会への理解・啓発
Ⅲ 支援つき自立生活支援・人材の確保・育成・権利擁護の推進
Ⅳ 個の尊厳・地域に開かれた施設、地域における公益的取り組み
Ⅴ 本人参加・本人活動支援の推進
Ⅵ 会員の研修・社会貢献推進
Ⅶ 組織強化

Ⅱ 事業計画

1 組織の充実強化と基盤強化

  • 組織

(1)理事(8名)(2)監事(2名)(3)評議員(9名)(4)評議員選任・解任委員会(3名)(5)事務局(6)8委員会(7)支援部門(8)推進部門

2.会議・事務局等の充実推進

(1)役員会等     ①理事会  ②評議員会  ③評議員解任・選任委員会
(2)事務局運営の充実・強化 適正・迅速な事務・経理の推進
(3)業務運営連絡会
(4)各委員会等会議の開催
①8委員会 ②センター長・管理者会議
③グループホーム支援会議・グループホーム等世話人会議 ④事業種別会議 ⑤学習事業部会議

3.8委員会の充実推進

(1)企画・財務委員会
①法人体制の整備強化
1)財務体制 経営管理の強化、社会福祉充実計画の取り組み
2)労務管理(労務・人材確保・育成等)
3)支援部門事業将来計画の取り組み推進

②組織・活動強化
1)専門性・人的基盤の確保
2)愛知県社会福祉協議会法人経営者委員会への参画
3)愛知県知的障害者福祉協会への参画
4)法人本部活動強化
ⅰ推進部門事業の推進
ⅱ法人本部・支部活動の連携強化 ・市長要望、区長要望、議員懇談会への参加
ⅲ会員の拡大・若い世代への取り組み ・幼児・学齢関連事業への参加

(2)職員人事会      人事の適正を図る  指導及び人材確保
(3)権利擁護委員会
①地域生活における権利擁護・個別の支援を推進する
1)権利擁護体制実現のため法・制度施策等への参画・推進
ⅰ全国活動
ⅱ名古屋市障害者施策推進協議会等差別解消への参画
ⅲ各関係機関参画
ⅳネットワークの充実

2)本部支部権利擁護ネットワークの推進
ⅰ本部・支部活動対策部・16区支部育成会、学習部会議との連携
ⅱ各区自立支援連絡協議会など連携の強化
ⅲ本人の会支援
ⅳ市障害者基幹相談支援センター(中川区)はじめ、指定相談支援事業・専門機関との個別支援への連携による支援
ⅴ「生活支援センターえん」の相談支援事業(権利擁護・苦情)の取り組み

②権利擁護に対する調査・研究・研修啓発・情報発信
1)研修・セミナーの開催    2)権利擁護に関するアンケート調査への対応
3)広報・啓発委員会、研修委員会、学習部会議との連携
4)外部研修・セミナーへの参加

(4)育成会運営適正推進委員会  (5)苦情解決第三者委員会設置開催
①育成会福祉サービス苦情解決の実施  ②施設・事業のQC委員会の充実
③苦情解決責任者・受付者の研修    ④職員研修

(6)研修委員会
新会員の拡大・魅力ある育成会活動を推進するために今後も時に応じた情報を取り入れながら、会員のニーズに沿った意義ある研修会の実施

(7)広報・啓発委員会
①会報誌「てをつなぐ」の企画・編集・発行 月2,600部発行

1)国・名古屋市行政の施策、及び福祉の動向・状況の情報を提供
2)関係機関や学識者などに原稿を依頼し、外部からの情報を提供
3)会員ニーズに基づきわかりやすく情報を提供
本人向け情報はルビを打ち、よりわかりやすく情報を提供
4)本部・支部・各種研修などの情報や本部・支部の活動報告、部会の計画・活動報告を掲載
5)本人の原稿・作品などを掲載

(8)生活支援センター運営委員会   本人および家族の生活支援に関わる事業を推進
①生活支援事業
①-1 生活
①-2 余暇・スポーツ・文化・レクリエーション・アート支援事業の開催
①-3 本人活動 - 青年の会支援・青年教室の開催

4.対外活動・ネットワークの推進

法人理念・目的実現のため、組織・機関等と連携共働と推進

(1)愛知県               (2)名古屋市
(3)全国手をつなぐ育成会連合会     (4)東海北陸手をつなぐ育成会協議会
(5)愛知県障害者雇用審議会       (6)愛知県知的障害者福祉連盟
(7)愛知県知的障害者福祉協会      (8)愛知県特別支援教育研究協議会
(9)愛知県特別支援教育推進連盟     (10)名古屋市障害者施策推進協議会
(11)名古屋市障害児早期療育指導委員会  (12)名古屋市特別支援教育研究協議会
(13)特別支援教育展           (14)名古屋市特別支援教育連携会議
(15)名古屋市障害者スポーツセンター運営審議会(16)名古屋市知的障害者更生相談所
(17)名古屋市児童相談所         (18)障害者・高齢者権利擁護センター事業運営委員会
(19)愛知県弁護士会アイズ        (20)司法書士会リーガルサポート
(21)名古屋市医師会           (22)愛知県社会福祉協議会
(23)名古屋市社会福祉協議会       (24)名古屋市知的障害者福祉施設連絡協議会
(25)名古屋市障害者団体連絡会      (26)名古屋市障害者雇用支援センター
(27)16区障害者基幹相談支援センター運営調整会議 (28)全国権利擁護支援ネットワーク
(29)名古屋市障害者就労支援推進会議   (30)名古屋市発達障害者支援体制整備検討委員会
(31)名古屋市発達支援センター運営連絡会 (32)あいち障害者フライングディスク協会
(33)名古屋市障害支援区分認定審査会   (34)名古屋市民生委員児童委員連盟
(35)名古屋市区政協力委員議長協議会   (36)名古屋市福祉有償運送運営協議会
(37)名古屋市福祉まちづくり推進委員会  (38)愛知障害フォーラム(ADF)
(39)チャリティー・ウォーカソン     (40)名古屋市成年後見あんしんセンター運営協議会
(41)全国事業所協議会          (42)アール・ブリュットネットワーク
(43)名古屋市障害者差別相談センター   (44)名古屋市障害者差別解消支援会議
(45)名古屋市ユニバーサルデザイン関連会議

5.支援部門事業の充実推進

各支援部門事業の連携・推進

(1)基本方針
社会福祉法はじめ障害者総合支援法、児童福祉法、又、障害者虐待防止法、障害者差別解消法、その他関連法の下、現況の課題に対峠し、支援部門の機能強化を図ることが重要です。障害者福祉サービスと高齢障害者の複合的支援の構築推進も重要課題です。法人倫理綱領、職員行動規範、事業所運営規程のもと、障害当事者の尊厳、意思疎通・決定支援による自己決定・自己選択を尊重した本人主体のサービス提供、地域生活支援基盤、家族支援、相談支援の充実を図るとともに地域への社会貢献事業を推進します。
社会福祉法人としての社会的責任を再確認し、その責任を果すため、利用者の尊重、質の高い支援、職員の資質向上・育成に努めます。又、福祉避難所、災害対策として日中避難訓練等を実施します。

(2)経営施設事業
①第1種社会福祉事業 障害者支援施設事業(入所支援施設事業・生活介護事業)(1)
②第2種社会福祉事業
②-1 生活介護事業(5)
②-2 就労継続支援B型事業(4)
②-3 短期入所事業(6)  通年(月~金緊急優先 土日祝日緊急受入)
日中一時受け入れ事業(5)
②-4 施設送迎サービス(5)
②-5 相談支援事業(9)
名古屋市障害者基幹相談支援センター(中川区)(1)
指定一般相談支援事業(地域移行・地域定着)(2)
指定特定相談支援事業(3)  指定障害児相談支援事業(3)
②-6 グループホーム事業(15)
②-7 ホームヘルプ事業(1)
③市町村地域生活支援事業
③-1 移動支援事業(1)
③-2 地域活動支援センター(精神Ⅰ型)事業(1)
④公益事業いこいの家運営
⑤法人自主事業   生活支援センターえん事業
⑤-1相談事業(権利擁護・差別・虐待・成年後見支援・苦情解決相談・他)
⑤-2 生活支援事業(生活・余暇文化スポーツ・レクリエーション)
<ふれあい教室、重度在宅児・者研修旅行、療育巡回相談支援事業ティー&トーク等>
⑤-3 本人活動支援事業  1)本人の会(青年の会)(1) 2)青年教室(5)

(3)法人本部の地域における社会貢献事業

法人本部 (1)生活支援センターえん事業
①相談支援事業  (ピアカウンセリング)
権利擁護・差別・虐待
成年後見相談支援
苦情解決
その他(就労生活・療育教育等)
②本人活動支援
1)青年の会(本人の会)活動支援 知的障者の自主生活を支援し、自立生活、社会参加を推進する。
2)青年教室開催(余暇支援)
③スポーツ活動支援 フライングディスク教室の実施
④創作活動支援 アート支援事業の実施
(2)療育巡回相談支援事業「ティー&トーク」幼児期の家族へのピアカウンセリング活動
(3)障害者差別解消への理解推進事業

6.推進部門事業の充実推進

住み慣れた地域で必要な支援をえて一人ひとりが個の尊厳のある自分の人生が実現出来るよう法・制度施策を推進し、特に遅れている高齢障害者の課題も含め地域の課題、理解の推進に取り組みます。
(1)権利擁護、理解推進、障害児・知的障害者関係制度の推進
①企画・活動事業部
1)施策推進事業 国要望(全育連) 市長要望 区長要望 本人決議・要望 障害者施策推進協議会等要望提言 権利擁護・障害福祉・防災災害対策等
2)対外活動(ネットワーク)の強化
3)大会事業 第68回名古屋手をつなぐ育成会大会・市知的障害者福祉大会併催 東海北陸協議会石川大会参画・全国大会熊本大会参加
4)啓発事業 愛のフェスティバル・心のとも運動・名古屋手をつなぐ育成会会報発行 ホームページ・アート支援事業・全育連機関誌「手をつなぐ」の拡大等
5)市・他団体連携啓発事業参画 障害者と市民のつどい・「障害者週間」記念のつどい参画・各研修会・セミナー・会報・ホームページの情報提供の強化
6)研修事業 重度在宅児・者研修旅行・知的障害者移動支援従業者養成研修事業・いこいの家療育巡回相談支援事業「ティー&トーク」
7)調査の実施と協力
8)余暇・スポーツ・文化・レクリエーション事業 ふれあい教室・アート支援事業・青年教室 フライングディスク教室・名古屋市障害者スポーツ大会・全国障害者スポーツ大会参加他
9)相談事業 差別・虐待、成年後見相談事業、苦情解決、就労生活・療育教育、その他)

②支部会長会
≪第2種社会福祉事業≫(名古屋市内各育成会連絡調整及び指導)
24支部 名古屋市内16区支部育成会活動 当法人経営施設支部7 他法人施設保護者会1

③支部活動対策部の充実推進
1)時代に対応した支部育成会活動の推進
2)議員懇談会の開催

④学習事業部の充実推進
活動目標
1.各部会の課題を検討し学びを考える
2.研修の機会を得て研鑽をする
3.巡回療育相談事業「ティー&トーク」への協力をする
4.知的障害者理解啓発のプログラム「知的・発達障害疑似体験」を主とした啓発活動の推進をする

1)そだつ・はたらく部会
活動目標 知的障害のある子どもたちが「地域で生きる」力を身につけるための親の学びに取り組む
1.知的に障害のある子ども(発達に支援が必要な子ども)が地域で「そだつ」ための制度・支援の研修
2.知的に障害のある子ども(発達に支援が必要な子ども)を「はたらく」人に育てるため、「はたらき」続けるための制度・支援の研修

2)くらす・まもる部会
活動目標
1.安心安全な地域生活のために必要な福祉(障害・介護)・医療の制度など地域のセイフティネットを幅広く学び、地域の中での本人主体の権利擁護・意思決定を踏まえた生活支援について考えます。
2.昨年度のまもる部会を引き継ぎ、「知的に障害のある人のための生活支援ファイル」を完成させます。くらす・こうれい部会が作成した「エンディングノート」とともに、会員への普及をはかります。
3.本人・親の高齢、健康を考えます。

3)支援プロジェクト部会
活動目標
1.地域、支援者の障害理解の啓発として、知的・発達障害擬似体験を実施し、また、各支部の
地域での障害理解の啓発活動を支援する。
2.知的・発達障害擬似体験の実施者を拡大する。
3.ガイドブック「こんなときどうする?」を使用して、地域へ障害特性に応じた合理的配慮の提
供をわかりやすく啓発する。
⑤「本人の会」活動支援
1)本人の会(青年の会)活動支援
2)青年教室の開催 余暇・文化・社会参加等支援

7.組織強化

(1)社会福祉法人としての経営基盤の強化
①法人運営のガバナンスの透明性。財務規律の構築。地域における公益的事業の実施
②計画と連動した財務管理、資金の再投下
③職員の指導・教育・育成及び人材の確保

2 社会福祉充実計画の修正と実施

  • ・環境整備に向けて計画内容を再検討する等計画を修正し実施する
  • ・購入した土地(中川区)を有効に活用すべく具体化に向けて検討する